印刷事業の未来を語る
「ペーパーレス」をはじめとしたデジタル化が進む昨今、縮小傾向にある印刷業界。その中でKDCの印刷事業の現状や強み、今後の展望について、印刷・情報ソリューション部にて社員を束ねる組織長、担当部長に語っていただきました。
※インタビュー内容は取材時点のものです。
「ペーパーレス」をはじめとしたデジタル化が進む昨今、縮小傾向にある印刷業界。その中でKDCの印刷事業の現状や強み、今後の展望について、印刷・情報ソリューション部にて社員を束ねる組織長、担当部長に語っていただきました。
※インタビュー内容は取材時点のものです。
印刷・情報ソリューション部
組織長
印刷・情報ソリューション部
プロモーションサポート担当部長
――デジタル化が進む印刷業界の実情について教えてください
印刷市場のピークは1991年で、約9兆円市場、約5万の事業所がありましたが、現在の市場は約5兆円、事業所数も約1.3万となり、印刷市場の規模が縮小していることは事実です。しかし、印刷市場の中でも、用途別に見ると、印刷前に「版」を作って同じ内容のものを大量に刷るチラシや新聞などが特に下がってきています。
その一方で、KDCが展開しているのは「版」を作らずに、印刷する内容が決まればすぐに形になる「デジタル印刷」「オンデマンドプリント」と呼ばれるものです。版を作らないため、多様化するニーズに合わせて一枚一枚異なる内容で印刷でき、1to1のコミュニケーションコンテンツなどの市場としては需要が伸びていくと予想されています。それを強みとしてきた私たちにとっては追い風といえます。
*DM(ダイレクトメール)…企業から個人に送られるはがき、封書などの印刷物や電子メール。KDCでは、主にはがきや圧着はがきを活用したDM発送サービスのご提案を行っています。
「オンデマンドプリント」と聞けば、少部数の印刷しか適していないと思われがちですが、KDCでは1日に最大500万枚印刷可能な印刷機を保有しており、高速かつ大量に印刷することもできます。
さらにいえば、時代が変わりつつあるともいえます。10年ほど前はインターネットが広く普及し、それに伴ってメルマガやWEB広告が一世を風靡しました。当時はメルマガが届くこと自体が新鮮で、開封率も非常に高かったんです。しかし今はメルマガなどデジタルを通じて情報を配信する手段が飽和状態となっているため、情報を届けたい人に届かない、見てもらえない事態に陥っています。こうした時代の流れもあり、あの手この手でメルマガを送りつくした人がDMに回帰しているところです。これまでメルマガを多用していたお客様で、DMを使い始めたお客様からも「反応率が全然違う」とお声を多くいただくので、デジタルとリアルの組み合わせが見直されつつあると感じています。
――KDCの印刷事業および商材やその強みについて教えてください
情報セキュリティ体制が堅牢な点です。KDCが提供する請求書・通知書発行サービスなどでは、大手通信事業者様とのお取引が30年以上前からあります。お客様からお預かりする情報のセキュリティ体制や管理方法などにおいて、厳しい審査を長年クリアしつづけており、情報漏洩などの重大事故はこれまで一度も起こしていません。これはKDCの誇りであり、強みです。
そうですね。請求書などを数百万人にお送りするために氏名や住所など個人情報が必要となります。こうした情報が一度でも漏れてしまえば、重大な事故となりますし、お客様との信頼関係に関わってしまいます。
そうですね。社員の皆さんには、重大な仕事を任されていることを胸に日々業務に取り組んでいただいています。
さらに印刷事業、システムビジネス事業と2つの事業を軸に置いているところもKDCの大きな強みです。私たちのお客様となる企業様の大半は顧客リストや情報をお持ちです。顧客の趣味趣向に合わせることは当然ですが、顧客が欲しいと感じた時点でDMなどのはがきを送ると、さらに購買率や購買欲が高まります。そのため、顧客情報に変化があった時にタイムリーに対応して商機をつかんでいく必要がありますが、人の目でカバーするには限界があります。そこでいかに自動化して効率的にするかを考えるとき、システム、印刷の各分野に長けた人がそれぞれいることは強みだと思っています。
お客様の課題に沿ってサービスをご提供できるのも強みになるかな。
そうですね。現在、印刷事業では、長年提供してきた請求書・通知書、DM発行サービスなどのほかに、チラシのポスティング、新聞折り込みを行う地域をWEBで指定して配布を依頼できるサービス「Post0(ポスゼロ)」、はがきDM制作・発送をWEBで全て完結できる「OCL(オクル)」、DMの効果を可視化するサービスを展開しています。新規顧客の開拓、既存顧客との関係構築など、お客様が起こしたいアクションに沿いながら、PDCAサイクルを回せるサービスが一連で揃っている会社は少ないですし、そこも強みといえますね。
――KDCの印刷事業や商材について、お客様からいただく具体的なお声を教えてください
OCL(オクル)でいえば、DM一通から固定価格としているため、「これまでにないサービス」として受け止められています。一般的なDM発行サービスは数十万通、数百万通を送らないと、発行費用が割高になることが多いです。日本企業の8~9割は中小企業で、事業内容にもよりますが、お取引する顧客は数百万に及ばないことも容易に考えられると思います。そのため数十通、数百通のDMを送りたくても、費用対効果を考えるとなかなか難しいのが実情でした。そんな中、DM発行・発送サービスの費用を一通から固定価格とすることで、多くの中小企業のお客様から驚きと感謝のお言葉を多くいただいています。
あとは「困った時に連絡、相談した時の反応が早い」との声もよくいただきます。お客様からご相談いただいている以上、何かしらの解決策をご提案したいという思いで社員全員が動いているのもありますよね。
そうですね。そのようなお言葉をいただけるのはうれしい限りです。「他社ではできなかった。断られてしまった」と聞いたら、KDCとしてはこれまで培ったノウハウを踏まえて工夫しながら解決策をご提案しています。DMや請求書といった「紙」に固執せず、時にはデジタルを活用した解決策もご提案するなど、お客様の課題に対して何ができるか考えて行動していることもあって感謝の言葉をいただく機会が多いです。
――KDCの印刷事業について、今後の展望を教えてください
お客様の売り上げを最大化する「マーケティングサービスプロバイダー」を目指しています。あくまでDMやポスティングなどはお客様の売り上げ、利益につなげる手段でしかありません。私たちは手段を売るのではなく、お客様の顧客にとって、最適な情報を、最適なタイミングで、どのようなコンテンツで訴求し、売り上げや利益につなげていくか。こうしたサイクルをお客様と一緒に考えて取り組むマーケティングサービスプロバイダーが私たちの将来的な理想像です。とはいっても、まだまだ道半ばです。
誰に何を送りたいかによってDM、メルマガを送るのか、ポスティングでチラシを配るのかなどの手段が変わってきます。私たちはDMやポスティングに固執するわけではなく、DMやポスティングなど具体的な実行策を決めるよりも前の段階である顧客データの分析、マーケティングなど検討するところからお客様と一緒に取り組み、お客様の売り上げ、利益を上げる会社でありたいと考えています。
――どのような人と一緒に働きたいですか?
お客様のことを常に考えて、喜んでもらう方法を共に考えてくれる人がいいなと思います。
仮に失敗しても成功するまで諦めない人がいいですね。信念や情熱を持ちながら、「失敗しちゃったけど、次!次!」と自分で笑い飛ばせるくらいの人がいいなと思います。個人的なモットーは「明るく元気に楽しく」です。